最近では、東京でも都心立地のマンションが急増して、新宿、池袋、渋谷、品川、上野などの主要なターミナルから三○分以上も電車に乗って通勤しなければならないマンションの供給は急減している。それに加えて、駅から一○分以上も歩かなければならない立地の新築マンションの供給も激減している。購入者にとっては、バブル期に比してマンションや建売住宅の価格は安くなり、超低金利で支払い負担は軽くなり、おまけに駅からは近くて生活に便利なところが取得できるということで、うれしい限りだろう。このような恩恵を受けられるようになったのは、地価の下落が続き、マンションや建売などのディベロッパーが、より条件の良い土地を仕入れることが可能になったからだ。最近のディベロッパーは、より通勤に便利な中心部での土地仕入れに腐心しており、郊外のターミナルから一時間もかかる地域は、当初から仕入れ対象としていない。同時に、駅から一○分以内、さらには五分以内へと仕入れの対象地域を絞り込んでいる。その結果、条件を満たしていない土地については、価格交渉以前の問題となり、検討すらしない。そんな条件の悪い土地は商品にはならないのだ。日本各地の土地や住宅、その他不動産全般についての市場の実態を調べてみると、利用されずに数ヶ月、数年間そのまま放置されている空き地、空家、空き店舗などの数の多さに実に驚かされる。この現象は、地方圏だけでなく、三大都市圏の郊外でも見ることができるし、地方都市の中心部にある商店街でもシャッターを閉じたまま放置されている店舗も増加している。
